マーケティング戦略を考える際、企業は顧客が商品・サービスと触れる場所となる「タッチポイント(顧客接点)」を的確に設計し、理想的なユーザー体験ができるよう計画する必要があります。本記事では、タッチポイントの意味と必要性、種類について紹介します。
顧客との接点になる「タッチポイント」
タッチポイントとは、企業・店舗・商品・サービスなどのブランドと顧客をつなぐ“接点”のこと。ブランドについて顧客が何らかの感想を持つであろう、全ての接点がタッチポイントとなります。たとえば、商品を手に取ったり、サービスを体験したりするのはもちろん、テレビや雑誌で見たり、近年ではブログやクチコミサイト、SNSのタイムラインでチェックするのも重要なタッチポイントです。
なぜ、マーケティングにおいてタッチポイント設計が必要?
ブランドは、顧客となってくれそうな人たちに認知してもらうことが重要です。魅力的な商品やサービスであっても、知ってもらえなければ販売に繋がりません。反対に、ターゲットではない多くの方に認知されても、売れる可能性は低いでしょう。認知へとつながるタッチポイントの設定には、顧客が購入するまでの行動や心理を時系列で図式化した「カスタマージャーニーマップ」を作成するのが一般的です。タッチポイントやカスタマージャーニーマップは、次の方法でまとめましょう。
①ブランドイメージの言語化
商品やサービスにどんな印象を持ってもらい、どんな価値を提供したいかを言語化します。
<例>非日常を味わえる、女性向けサービス充実のデザイナーズホテル
②ペルソナの設定
商品やサービスを利用する人の中で、メイン層だと思われる人物像「ペルソナ」を設定します。人格が具体的にイメージできるよう、性別・年齢・家族・職業・趣味や好みなども細かく洗い出しましょう。実際の顧客やペルソナに近い人物へヒアリングを行うことで、ズレは少なくなります。
<例>32歳女性、独身、独り暮らし、正社員、趣味はInstagramで見つけた話題のランチ巡り など
③ゴールを決め、タッチポイントを設定
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商品名検索・アカウントをフォロー・Web予約など、マーケティング施策のゴールを決定。そこへ向けて「認知」「興味・関心」「比較検討」「行動」といったフェーズ別に、ペルソナの行動・心理を反映したカスタマージャーニーマップを作成し、タッチポイントを設定します。
<例>ゴールが「ホテルのWeb予約」の場合
– 認知:「素敵なホテル!」⇒テレビ、動画チャンネル、女性誌、友人のSNS
– 興味・関心:「泊まってみたい!私でも泊れる?」⇒ホテル比較サイト(条件検索)、旅行雑誌
– 比較検討:「他にもっと良いホテルはある?」⇒ホテル比較サイト(クチコミ・レビュー)、SNSでハッシュタグ検索(#デザイナーズホテル #お泊り女子会 #genic_hotelなど)
– 行動:「決めた、予約しよう!」⇒公式サイト、ホテル比較サイト
3つのタッチポイントカテゴリーを上手く使いこなそう
タッチポイントは、大きく3つのカテゴリーに分類されます。それぞれの強みを生かして、ブランドのマーケティング戦略に沿ったタッチポイントを選びましょう。
●ペイドメディア(Paid Media):テレビ・新聞・雑誌などのマス広告、バナーなどのネット広告
費用を支払って掲載するメディア。瞬発力があり、多くの消費者へブランドメッセージを届けられるのがメリットですが、「広告」として認知されることも。
●オウンドメディア(Owned Media):自社Webサイト、メルマガ、社員ブログ
自社で運営するメディア。情報をコントロールしやすいのがメリットですが、拡散力は乏しく、ペイド&アーンドメディアでタッチポイントを増やしてオウンドメディアへ誘導することが必要です。
●アーンドメディア(Earned Media):SNS、動画チャンネル、個人ブログ、クチコミサイト
ユーザーが発信するメディア。消費者からの信頼が厚く、拡散されやすいのがメリット。ただし、企業が情報をコントロールできず悪い情報も広がる「炎上」リスクを持っています。
タッチポイントをコントロールできる企業が市場競争力を高められる
スマホやSNSの普及に伴い、タッチポイントは多様化しています。オン&オフラインにおける顧客とのコミュニケーションをデザインし、あらゆるタッチポイントを戦略的にコントロールできる企業が市場競争力を高めることができるでしょう。
※「タッチポイント」は博報堂の登録商標です。