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「2025年の崖」とは何か ~なぜDX・デジタルシフトが必要?~

経済産業省は2018年9月に発表した『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』において、今後企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進まなければ、2025年以降に最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性がある、と警鐘を鳴らしています。この記事では、DXの定義や「2025年の崖」のポイントについて解説します。

企業がデジタルシフトするメリットとは

「DX(Digital transformation)」とは、2004年にスウェーデンのウメオ大学エリック・ストルターマン教授が提唱した、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という考え方です。そして2018年12月、経済産業省は「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」において、DXを以下のように定義付けました。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
引用:経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)Ver. 1.0」 1 はじめに

つまり、企業は業務をデジタル化することで組織やプロセスのアップデートも可能となり、市場競争力を維持・強化できるとしています。

「2025年の崖」で危惧されていること

日本企業がDXを進める中での課題整理、そして対応策をまとめたのが経済産業省による「DXレポート」であり、DXが実現できない場合どのような事態に陥るのかを端的に表した言葉が「2025年の崖」です。世界では、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、クラウドサービス等最新デジタル技術でイノベーションを生み出した新規参入者があらゆるビジネスに登場し、多くのゲームチェンジャーが誕生。DXレポートでは、デジタルシフトが進まないままだと日本の市場競争力は著しく低下し、2025年以降はDXを成し遂げた国や企業に対抗できなくなる=「2025年の崖」と表現しました。
崖、つまり真っ逆さまに落ちる状況の比喩は、巨額の経済損失を表現しています。経済産業省は、日本企業がこの課題を克服できない場合、1年間で最大12兆円(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性があると試算。そこで、2025年までにシステム刷新を集中的に推進させるべきだと提言しているのです。

進まない理由①レガシーシステム(旧システム)の存在

ですが、日本の多くの経営者が、将来の成長・競争力強化のためDXの必要性を理解していながらも実際にはあまり進んでいない他、ある程度投資されても実際のビジネス変革には至っていない現状があります。進まない理由の1つとして、老朽化した既存システムを都度カスタマイズしながら使い続けたことで複雑・ブラックボックス化※した、「レガシーシステム」の存在が挙げられます。DXレポートでは、約8割の企業がレガシーシステムを抱え、この保守・運用に人員やコストを割かれてしまっていること、保守運用者不足等によるデータ流出やシステムトラブル等といったリスクの高まりも指摘しています。
更に、日本企業では営業所や業務ごとに構築された専用システムが多く、全社横断的なデータ活用ができないことについても注目。スピーディな方針転換やグローバル展開への対応に後れを取り、デジタル競争の敗者になってしまうのです。

※ブラックボックス化 :入力や出力の方法は知っているが、内部構造や動作原理を理解していない状態のこと。全貌が分からず、分解や再現が不可能であるため、ソフトウェアやシステムにおいては、変更や修正、データの利活用ができない問題も。

進まない理由②DXに対するビジョン・戦略の不足

もう1つの進まない理由として、DXは業務の見直しが必要であるがゆえ現場サイドからの抵抗も多く、経営層が明確なビジョンと戦略を立て、強い推進力でコミットする必要があることも挙げられます。レガシーシステムの刷新には莫大な時間とコストがかかるため、DXのメリットを理解していない経営層はリスクと捉え、改修して利用し続けた方が安全だという判断になる割合が多い こともレポートでは指摘。
「ペーパーレス化」「情報のクラウド化」等の業務効率改善に加え、ビッグデータや新技術を使ってビジネスをどう変革させるかといった、ビジョン・戦略を経営層がしっかり描くことも重要です。

日本社会全体のデジタルシフトが急務に

新型コロナ禍における特別定額給付金の支給においても、自治体ごとに行政システムが異なる等の理由から迅速な給付ができないといった、公的ITインフラの弱さが露呈したのは記憶に新しいところ。この「2025年の崖」へ日本が落ちてしまわないよう、企業のみならず、行政全体のIT化やDX についても、スピード感を持って進むことが期待されています。

【参考】
経済産業省:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(平成30年9月7日)
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html

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