Webサイトのパフォーマンスを上げるためには、現状の問題点を洗い出すことが重要であり、そこで役立つのがWebサイト診断です。今回は、診断時に必要となる3つの「あるべき姿」の基準と、注目したい診断項目についてご紹介します。
基準1.ユーザビリティを重視する
一般的にユーザビリティとは、ターゲットとなる利用者にとっての使いやすさを意味します。Webサイトにおいては、デザインの美しさや使い勝手はもちろん、何らかの目的を達成するためにサイトを訪れた方が「一連の作業を迷いなく行えるかどうか」も重要です。Web診断を行う際も、このユーザビリティを重視したサイト設計になっているかどうかを軸に考えます。
基準2.Webサイトの目的を正しく認識する
企業や団体のWebサイトの目的は、大きく以下の要素に分けることができます。
■訴求・態度変容、何かをしてもらいたい → 発信者に対するメリットが目的
・ブランディング…イメージ
・マーケティング…売れる状態にする活動
■伝える・導く・案内する・広報する → 受信者や社会に対するメリットが目的
・啓蒙・啓発…正しい認識や知識を与え、広げる活動
・情報発信・提供…情報、ニュース、案内、説明
■その他、特殊な目的…Webサイトを通じたサービス提供、コミュニケーション
例えば化粧品通販サイトの場合、有名モデルを使ってブランドイメージを上げるのか、もしくはリピート率や満足度の高さを紹介して購買意欲を煽るのか、といったアプローチの違いがあります。
Webサイト診断をする際は自社サイトの目的を正しく認識しておくこと、また、複数の要素を目的とする場合は、それぞれの比率を決めておくことをおすすめします。
また、4つの目的を相性が良い順に並べると、上記のようなマトリクスになります。例えば、ある製品についての情報発信をすることは、ターゲットの購買意欲を刺激したり、製品について啓蒙したりすることにもつながるでしょう。複数の目的を掲げる場合は、これらの相性もぜひ知っておきましょう。
基準3.誰に届けたい情報かを整理する
『Webサイト制作時に知っておきたい「ターゲットの3分類」』でもご紹介しましたが、診断時はターゲット(対象)となるユーザー像を絞り込み、誰に届けたい情報かを整理することも重要です。
●ターゲットの状態や関係性…それぞれ有効なアプローチ方法が異なります
潜在顧客/見込顧客(顕在顧客)/検討顧客/新規顧客(既存顧客)/優良顧客/ロイヤルカスタマー
●ターゲットの種別…それぞれ求められる情報が異なります
B to B/B to C/B to B to C/投資家・資産家/求職者・入学希望者/社員・職員/住民・市民
●ターゲットの属性…それぞれ発信すべき情報や提供するサービスが異なります
年齢/性別/地域/職業/年収/趣味・嗜好
ターゲットは広げすぎても絞りすぎても狙った相手に情報が届かない可能性があります。まずは狙いたいユーザー像をリストアップし、その中で優先順位をつけるようにしましょう。
Webサイト診断における診断項目の例
ここまでご紹介してきた、使いやすいか・目的に合っているか・誰に届けたい情報かといったWebサイトの「あるべき姿」の基準を元にWeb診断を行いますが、では具体的にどんな内容をチェックすべきなのでしょうか。ここからは、私たちインフォネットが利用している簡易診断の項目を例としてご紹介します。
●アクセス性
・Webサイトへアクセスしやすいか
・検索エンジンで見つけやすいか
●ブランディング、デザイン性
・好感を持てるイメージか
・誰が情報を発信し、どんな価値を提供しているのかが分かるか
●マーケティングに関わる訴求力について
・閲覧ニーズを裏切らない情報発信となっているか
・購買意欲/問い合わせ動機に働きかける力はあるか
●ファインダビリティ(見つけやすさ)
・コンテンツの分類は適切か(ユーザビリティにも関連)
・知りたい情報が見つけやすいか
●ユーザビリティ
・Webサイトへ訪れた目的が達成しやすいか
・ユーザー満足度が高いか
・不快さがなく、迷わせたり誤認させたりすることがないか
●信頼性
・SSL(TSL1.2以上)に対応しているか
・問い合わせ手段は用意されているか
・法令遵守(個人情報保護方針など必要に応じて適切な情報が掲載されている)
まとめ
Webサイトをより良いものにするためには、現状の課題を把握することが不可欠です。そのためには、Webサイト診断を行って問題点を洗い出すことが重要です。また、診断するにあたりユーザビリティやサイトの目的を確認することで、きっと解決の糸口が見えてくるでしょう。